「既卒就活は大変そうなので,大学院中退をする勇気が出ません。」
私はこれまでに,こういった内容のDM,マシュマロをそこそこの量いただいてきました。が,Twitter上ではっきりとした回答はこれまでできていなかったように思います。なかなか短文では回答できる内容ではないためです。
総合的に考えると,私がただ一つ言えるのは,「大学院に通い続けるよりは楽だった」。この一言につきます。
それでも,もちろん大変じゃなかった,という訳ではありません。
私は新卒として就活をした経験はありませんが,「きっとこれは新卒でも大変だったろうな」と思うこともあれば,「新卒よりも大変かもしれない」,「新卒の方が大変かもしれない」と思うこともありました。
今回は,既卒就活するにあたって,どんなことが大変か,大変ではないか,観点別に解説していきます。
既卒就活そのものに関するポイント
①既卒就活に関する情報収集
これは新卒の就活に比べ,明らかに大変だと思います。お分かりだと思いますが,既卒就活をする人が圧倒的に少ないため,世の中に転がっている情報が限りなく少ないのです。
新卒であれば,豊富な就活セミナー,一緒に就活をする同期,ネット上に公開される情報など,就活に関する情報は山ほど転がっています。
一方で,既卒就活に関しては,体験談も少なく,セミナーもほとんど行われませんし,既卒就活の解説サイトもありません。これは本当に困りました。
実際に既卒就活をすると,「新卒とあまり変わりないな」と思うことも多々あるのですが,それすらも就活を開始するまでわかりませんから,不安が尽きません。
ただ,苦労はしますが,私を含め,このような状態で何とか就職できた人も少なくないので,自力での情報収集は不可能ではないです。
しかし,情報収集能力が低いな,と感じられる方は,ここで足踏みをしてしまう可能性が非常に高いです。早々に,エージェントやハローワークなど,プロの力を借りることをお勧めします。
②大学院中退の理由の説明
これは大学院中退前提の既卒就活特有のものです。これはやや大変でした。
①と関連しますが,新卒であればESや面接での受け答えなど,例文が山ほど転がっていますよね。
一方,大学院を中退する理由の例文は,ネットでもあまり見ることができません。
やっぱり人の答えを知ることができないのは,不安が募ります。また,回答例があれば自分で作文するのもいくらか容易になるのも事実です。
自力で作成することができる人にとっては大したことないかもしれませんが,文章力に自信がない方は,ここでつまずいてしまうかもしれません。
私のブログでは,過去に中退理由の回答例についていくつかまとめておりますので,あわせてご確認いただければ幸いです。
③求人探し
新卒に比べ,既卒のエントリーを可としている企業は現状少ないです。また,求人が少ないためにブラックに出会う可能性も高いとされています。
時期によっては,既卒でも十分な数の求人がありますが,それでも希望とする会社が募集していない,という可能性は大いにあります。
これらのことを踏まえると,この観点での大変さは,人によって異なります。
まず,「企業・職種・業種にあまりこだわりがない人」は,特別気にする必要はありません。シンプルに言えば,「選ばなければ求人はある」からです。
ブラックっぽいところを避けたとしても,選ばなければエントリーできる会社はあります。
例えば,「業界はどこでもいいけど,デスクワークがいいなぁ…」これくらいのこだわりであればほとんど問題なく,エントリーする会社は見つかります。
一方,「企業・職種・業種にこだわりがある人」は,そのこだわりが強ければ強いほど,求人探しがどんどん大変になります。受けたい会社が決まっている方は,さらに大変です。
もちろん,すべての要望を満たす会社が求人を出している可能性はゼロではないので,最初から諦める必要はないですが,「もしかしたら受けられるところはないのかも」といった覚悟を決めて臨む必要があります。
こういった方は,大学院を続けることによるストレスと,希望の仕事に就きたい気持ちを天秤にかけ,前者に傾くのであれば求人の条件の見直しを,後者に傾くのであれば院を続けて新卒としての就活の検討を進めていくことになるでしょう。
④ES・面接への対策
②の中退理由さえ,こしらえることができれば,その他のESの内容,面接の受け答えについての大変さは新卒の就活と同程度です。
既卒就活だから,と特別に気負う必要もありませんし,中退理由を除けば,特別に既卒生が聞かれる質問もほとんどありません。
※就職浪人による既卒就活の場合,中退理由の代わりに「どうして就職浪人しているのか」という質問がくることは考えられます。
ここを気にされる方がけっこう多い印象ですが,これは新卒であっても,既卒であっても変わらない大変さですので,これを理由に既卒就活を辞めてしまうのはもったいないと思っています。
⑤既卒に対する偏見による不採用
個人的には,これは懸念するポイントではないと思っています。実際,私は受けた会社すべて,書類選考で落とされたことはありません。
落ちた会社もありますが,それはシンプルに私の面接の内容が悪かったのが理由だと思っています。
もちろん,すべての企業が「既卒だから落とす」ことをしていないとは断言できませんが,少なくとも「既卒可」として求人を出している会社に関しては,そういった理不尽な選考は行われにくいと思います。
そもそも,「既卒だから落とされるかも」と考えたところで,こちらにはその真実を知るすべがありません。仮に理不尽な選考理由で落とされたとしても,「そういった会社はこちらから願い下げ,落ちてラッキー」と考えることができますよね。
ただし,既卒と関係のない理由で落とされたにもかかわらず「既卒だから落とされたんだ…」と考えて,次回の面接に向けての反省を行わない,というのは良くないですので,そこは適切に判断しましょう。
⑥就活仲間がいないこと
これも①で少し触れましたが,当然ながら,周囲に同時期に既卒就活をする仲間はいないと思った方が良いです。(新卒が就活浪人をした場合の既卒就活だとしても,仲間はそう多くありません。)
普通に院を卒業しようとしている同級生に,既卒就活に関する相談や,話題を振るのは困難でしょう。そのため,とにかく就活中に孤独を感じます。
私はどちらかというと一人で黙々と行動するのが好きなタイプのため,情報収集をしにくいという点を除けば,仲間がいないことに辛さを感じることはありませんでした。
面接で落ちたとしても,既に社会人をしている友人に慰めてもらうことはできましたし。
ただ,大学院でメンタルが弱っている状態で,孤独を感じるということが,追い打ちをかけることになってしまう方もいます。そういった方は,就活をしていない人でも構わないので,辛いときに辛いと吐くことができる友人,相談員の方などを事前に考えておくといいかもしれません。
⑦金銭面
大学院と並行しながら既卒就活をしようとする場合,金銭面がネックとなる方も多いです。
(私は就活を始めたころ,研究室に行けない日が多くなりましたが,その分バイトに時間を当てていたので,あまりお金に困ることはありませんでした。)
就活にどれだけお金がかかるのかも,人に寄りけりですが,例えば地方から都内の企業を受ける場合,どうしても交通費が必要になることがあります(企業から交通費を出してくれることも多々あります)。
自分が受けたい企業が自分の住んでいる地域の付近なのか,離れているのか,そこを自分の所持するお金とすりあわせる必要が出てくるかもしれません。
周囲からの理解に関するポイント
次に,既卒就活,大学院を中退するにあたって,どうしても避けられない周囲への説得,理解を求める際に大変になるところを解説していきます。
親の理解
ご両親の考え次第で,説得の大変さは変わってきますが,多くの方が最初は反対されると思います。そしてこの説得は,かなり大変です。
特に大変なのが,親御さんに学費を出してもらっている方です。「私たちがお金を出しているのだから」と言われると,なかなか反論が難しいですよね。
説得の方法としては,「お金は働きながら返すから」と返すことが最もオーソドックスです。ただし,これは就職先が決まっていないと納得してもらえないかもしれないので,報告・相談のタイミングも考えなければなりません。
研究室(教授)の理解
こちらはよほどモラハラな方が相手ではない限り,すんなりと話が進むことが多い印象です。研究室としても,やる気のない人間を所属しておくメリットはないですから。
また,もともとメンタルに不調をきたしている旨を相談していた方や,休学していた方についても,先生方はある程度覚悟されていると思いますので,そこまで話が長引きはしないと思います。
退学書には研究室の教授のサインが必要となる学校も少なくないと思いますので,理解してもらうことは必須事項です。
既卒就活が大変そうで悩んでいる方へ
冒頭でも述べましたが,私にとっては「大学院を続けるよりははるかに楽」でした。
ただ,これまで説明してきた通り,人によってその大変さは多少左右されます。
私としては,既卒就活をちょっと始めながら,大学院生活も続け,自分が既卒就活をできる,と踏ん切りがついた時点でそちらに舵を切る,といった感じに,緩く就活を始めるのも一つの手だと思っています。
少しでも,悩んでいる方の背中を押す記事になっていれば幸いです。