歯列矯正を初めて2年半ほど経ちます。
今回は,歯列矯正を始める上でもっとも重要といっても過言ではない,「病院選び」についてわたしが重要視した点についてお話をします。
あくまで患者の立場での話であり,医師ではありませんので,情報を鵜呑みにはしませんようお願いいたします。
2つの矯正方法と抜歯の有無
私が病院選びで重要なことだと考えたのが,その病院の得意とする治療方法と,抜歯に関する考え方です。
治療法の違い
歯列矯正には大きく分けて
・マウスピース矯正
・ワイヤーを用いた矯正(ブラケット法)
の2つがあります。
マウスピース矯正というのは,インビザライン,などの名前が有名ですね。食事の時以外はマウスピースを装着し続けることで歯のゆがみをとる治療法です。
マウスピース矯正は目立ちにくいため,仕事をしながら矯正することになる社会人の方でも比較的取り組みやすい治療になります。ただ,ワイヤー矯正に比べ費用はやや高めになります。
※マウスピース矯正の中には安く治療できるブランドもあるみたいです(2020/8月現在)。
ワイヤー矯正は学生の頃に見たことがある人が多いのではないでしょうか。歯にブラケットと言われるボタンのようなものをとりつけ,ワイヤーを通し,力をかけて歯を動かす治療法になります。
仕事の種類によっては,装置が目立つので歯列矯正NG,と言われる方もいるかもしれません。そういう方が行うには難しい治療法になります (裏側に装置を付ける治療法もありますが,急激に金額が跳ね上がります)。
ただ,マウスピース矯正に比べると比較的安価なことが多いです。古くからある治療法なので、情報がたくさんあり、安心できるのもワイヤー矯正のメリットの1つですね。
抜歯に対する考え方
これは,歯列矯正を始めるにあたって知ったことなのですが,歯列矯正を行う歯科医院の中には,「非抜歯」を推奨するところがあります。
非抜歯の治療によるメリット・デメリットは,歯科医師の中でも意見が割れているようなので,詳しくは書きません。
ただ,次のような歯科医院が存在するのは事実です。
・必要に応じて抜歯を行う歯科医院
・あまり深く考えず抜歯を行う歯科医院
・絶対に抜歯を行わない歯科医院
ご自分の考えに沿った病院を選ぶ必要があります。
そのほかの病院選びのポイント
上記の2つが重要なファクターになるとは思いますが,もう少し病院選びにはポイントがありますので,そちらも紹介しておきます。
通える範囲にあるか
歯列矯正,特にブラケットを使用した矯正治療の場合,頻繁に歯医者に通う必要があります。(ブラケットの場合は3〜4週間おきに通う方がほとんどです。)
頻繁に通うことを考えると,近くにある病院で治療することをお勧めします。
急に予定が変わることがなく,時間にも余裕がある方は多少遠い場所にある病院でも構わないかもしれませんが,会社で働きながら矯正をする方にはあまりおすすめできません。
歯列矯正を行っている病院は,基本的に予約制です。
仕事の都合で急にいけなくなった,という場合,予約を取り直す日がかなり先になってしまい,治療に後れをきたす可能性があります。
また,急に装置が外れた,調子が悪い,といったときにすぐに病院に行けないのはその後の自分を苦しめることにつながります。そしてそういう出来事は思っているよりたくさん起こります。
もちろん,近くにある病院では納得できない,という場合は頑張って遠くの病院に通う方が良いと思いますが,その後のリスクも考えておきましょう。
コロナ禍では,いつ県外への移動が禁止されてしまうかもわかりません。県外の病院を選ぶ際は,そういったことも頭に入れておく必要があります。
会話がしやすい医師か
矯正を行っている間は,何かと細かいことに不安を感じてしまいます。
そういうときにすぐに質問できるような医師でなければ,不安を抱えたまま治療することになりますので,できるだけ,自分が会話をしやすいと感じる医師のもとで治療を受けることをお勧めします。
特に,審美眼を気にして治療される方は,コミュニケーションをとることが少ないと仕上がったときに「イメージしていたものと違う…」となってしまうかもしれません。
困ったときにすぐに頼れるかどうか,治療方針を納得できるように説明してくれるか,カウンセリング時にしっかり医師の姿も確認しておきましょう。
矯正の認定医・臨床指導医かどうか
歯列矯正を行う病院には,大きく分けて次の3つがあります。
① 一般歯科の診療に加え,矯正治療も行う病院
② ①のうち,歯列矯正の認定医・臨床指導医のいる病院
③ 歯列矯正の認定医・臨床指導医のいる専門の病院
必ずしも,①の病院はよくない,というわけではありませんが,できることなら②,③から選ぶほうが安心感があります。
矯正はその医師の経験,技術そのものが,治療後の見た目・かみ合わせに大きく表れるといわれています。
もちろん,②,③であれば必ず希望通りになる,というわけではありません。
結局は自分の目でその病院の症例を見ることなどで判断することになりますが,やっぱり矯正の専門家,と認定されている医師の方がより適切な治療をしてくださる可能性が高いと考えられます。
ご自分の地域の認定医・臨床指導医については,以下のリンクから検索できますので,ぜひご利用くださいね。
日本矯正歯科学会 認定医・臨床指導医名簿一覧 | 日本矯正歯科学会
自分の目的に合った病院を選ぼう
これまで述べてきたように,歯列矯正を行うにあたって,必ず行わなければならない「病院選び」にはさまざまなポイントがあります。
歯列矯正は,一歩間違えば大きな後悔をすることになりかねない,大きな治療です。
かける金額も小さくはありませんので,必ずご自分の納得のいく病院を探し出す努力をしましょう。
※最初にも言ったように,あくまで患者側である私の見解であり,医師の書いた文章ではありませんので,情報の取捨選択はご自分でお願いいたします。